ジュエリーと聞いて何を連想しますか?
ほとんどの方が、ジュエリーというのは18金やダイヤモンドなどの指輪や、ネックレス、ピアスなどを思い浮かべますよね?
金、銀、プラチナ、宝石や貴石、天然貝など「希少な天然資材を使うアクセサリー」のことをジュエリーと呼びます。
ジュエリーは、もともと素材に価値が付いていますから、どんなデザインやブランドでも価値があるとされます。
←宝石をメインに貴金属で仕上げるジュエリー。
ちょうど今、価格が上昇し最高値を更新している「金(24K)」を使ったアクセサリーを想像されるとわかりやすいですね。
どんなヘンテコなデザインのアクセサリーでも、金(24K)でできていれば、重さを量ってすぐに高額な価格が算出できます。どんなヘンテコ作品でも必ず多くの買い取り業者から引き合いや需要があるでしょう。
だからジュエリーを身に着けている人は「価値のあるアクセサリーを付けている」という充足感があるのです。
しかしながら、仮にその業者が買取後に、金(24K)を溶かしたとしても、その価値、価格は変わらないでしょう。全ての価値は金(24K)の重量なのですから。
←コスチュームジュエリー展。(ミリアムハスケル)
つまり、ジュエリーというのは素材は高額ですが、見方を変えると、ブランド価値や製作者の作品としての価値は、多くの場合が0円評価なのです。
素材としての価値が重視され、作品としての価値がぼやけてしまう。そこに「ブランド価値」や「製作者の価値」だけを見いだすことは困難になります。(例外として、近年だとROLEXやクロムハーツなど、投機対象と見なされ価格が上昇し、素材以上に価値が出るブランドもありますが、過去の20世紀初頭までは困難でした)。
ジュエリーは高値で売買されやすいのですが、製作者やメーカーとしては、自分たちの仕事・デザイン・ブランド価値が評価されづらいジレンマに陥るのです。
一方で、「コスチュームジュエリー」と呼ばれるアクセサリーがあります。耳慣れないかと思いますが、服飾業界ではよく耳にする単語です。
コスチュームジュエリーは、あえて「希少な天然資材を使わないアクセサリー」のことです。宝石や貴石、金や銀などを一切使用せず、全てを人工の素材で代用するアクセサリーのことをコスチュームジュエリーと呼びます。
ジュエリーと同等とまでは言いませんが、このコスチュームジュエリーを、ある程度まで高く販売できるメーカーがあるとしたらどうでしょう?
ブランドの価値や製作者の価値が評価されていると言えますね。
まさにコスチュームジュエリーの良き成功例として、スワロフスキーが挙げられると思います。宝石をモチーフに色展開しておりますが、宝石や貴石ではなく全てがクリスタルガラスです。ライバルメーカーよりも圧倒的に美しく、他より高価な価格設定ができております。他社より高価なのに、他社よりもしっかりとした需要があります。
そんな「コスチュームジュエリー」には開祖と呼べる人物がいます。「ココ・シャネル」と「ミリアム・ハスケル」の2人です。どちらも19世紀の人物です。2人の作品にはスワロフスキーのストーンが欠かせない素材として利用されていました。
←ココ・シャネル。
パリとニューヨーク。ビジネスを展開する都市は違っていても、2人は親交があり、友人であり良きライバルでした。
2人とも、いかにして自分の作品をブランド化していくか、価値を上げていくかに注力した生涯でした。
ココ・シャネルは、パリでイミテーションジュエリーに「本物のシャネルよ」とまるで価値があるものとしてプロモーションを開始。これがコスチュームジュエリーの始まりです。
「偽物じゃない、本物のシャネル」という名言が世界の女性に強いインパクトを与えました。
強い女性像として「男性から価値のあるものを与えられなくても女性は価値を上げていける」というココ・シャネルの価値観が当時の時代背景も相まって瞬く間に支持を得ました。
しかし、一方でココ・シャネルはジュエリーを全否定してはおらず、後年にダイヤモンドなどのジュエリーの製作販売も手がけておりますので、一生涯をコスチュームジュエリーだけにこだわり、特化したという点で、コスチュームジュエリーの開祖は「ミリアム・ハスケル」だけと言えるのかもしれません。
←ミリアム・ハスケル。
ココ・シャネルに憧れ、ニューヨークでコスチュームジュエリーを手掛けるようになったミリアム・ハスケルでしたが、ジュエリーを全否定し、コスチュームジュエリーだけを製作します。その技術と美しさは、次第に話題を集めていきます。
本物の宝石や貴金属は使用しませんが、当時の世界最高峰の技で作られた素材を集めて採用していったからです。
ミリアム・ハスケルの作品は、アメリカ国内や海を越えてヨーロッパ諸国でも人気のアクセサリーになりました。ジュエリーを否定する新しい切り口のコスチュームジュエリーが大陸を超え人気になるというのは異例です。しかも当時ファッションの発信地であるヨーロッパの人がアメリカのものを欲しがるという逆転現象が起きていたのです。
人気の理由は、デザインの斬新さにありました。他のメーカーが中世ヨーロッパから続く、宝石を中心にするデザインアクセサリーを展開していましたが、彼女は単にエメラルドやサファイアを模倣し中心にするような作品は作らず、お花や植物といった可愛らしいモチーフに特化しデザイン製作していました。
また、全てが職人たちの手作りで、丁寧な造りが好評でした。機械を使うのは金属に穴を空ける時だけで、それ以外の工程は全て手作業によるものでした。ボンドを一切使用せず、小さなラインストーンを付けるのも全て爪留めで付けられました。 留められたビーズの端からワイヤーが飛び出て傷ができないように、必ず裏面には金属のカバーが取り付けられていました。
この丁寧な仕事のアクセサリーには、スワロフスキー(オーストリア)やムラノガラス(イタリア)、ボヘミアンガラス(チェコ)といった一流の技術がたくさん使用されておりました。
そして、中でも人気だったミリアム・ハスケルのバロックパールは、天然素材のパールではなく、全てが、あえて人工のフェイクパールでした。それらはとても美しく、太刀魚の鱗から取った成分、セルロース、アクリル樹脂などを10回以上も塗り重ねられて丁寧に作られたと言われております。
そのフェイクパールのほとんどが日本での製造でした。パールに関してはスワロフスキーなど他国のメーカーを採用せず、日本メーカーのパールだけが採用されていたのです。この日本から輸出されたパールがミリアム・ハスケルの作品にはずっと使われておりました。パールだけでなく、ヒスイやオパールに似たガラスも日本からミリアム・ハスケルのもとへ輸出されていたそうです。
そのほとんどを受注していたのが、日本国内の「NIKIパール」社です。
「NIKIパール」社は、現在廃業されておりますが、デッドストック商品として当店でも一部販売しています。現在は製造されていないしないものとなります。この機会にぜひ一度お試しください。(NIKIパール製ですがミリアム・ハスケル注文品ではございませんので、ご承知おきください。)
当時はミリアム・ハスケルが世界的に評価されておりましたが、そのパーツを製造している日本の町工場「NIKIパール」はどうだったのでしょう?しっかりと評価され、ブランド化されていたのでしょうか?
時代を経て日本の技術が再評価されたとき、その中心となった工場はすでに廃業されているというのは何とも残念な気持ちになります。
現在もフェイクパールの製造業者が多く存在する大阪では、フェイクパール産業が地場産業としても有名です。国内で販売されている国産フェイクパールのほとんどが、大阪で製造されています。
風の噂でミリアム・ハスケルから受注したことがあるという企業がNIKIパール以外にもまだ残っているという情報を聞きました。
本当にもし残っているのであれば、ぜひ、その技術をブランド化し、大切に守って発展してほしいものです。
←ミリアム・ハスケルのフェイクパールアクセサリーの広告。
→「NIKIパール」の販売ページはこちらから。 当店のNIKIパールは当時の経営者のご親族の方から譲り受けたお品です。
それではまた。
★ご注文お待ちしております★
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